さて、後半戦に入り6回目を迎えるPHIJ2019ベーシックコースですが、今回より内容はインプラント治療へと入ります。
1900年代、インプラントという概念が出始めた頃は様々な類のものが出回り、あまり社会から信用されていませんでした。しかし、近代インプラントの父と言われるブローネマルク先生がオッセオインテグレーションを発見し、現代のインプラントシステムの礎を築かれました。15年間の基礎研究を経て世間に発表されたブローネマルク先生を鑑みても、インプラント治療とは単なる外科処置ではなく、原点を忘れずに医療の本質を見据えてはじめて患者さんにとって有意義な治療を提供することができると言えます。
1日目はそのインプラントの基礎を築山鉄平先生に講義していただきました。
インプラントの構造、歯周組織とインプラント周囲組織の違い、抜歯後の歯槽堤変化、プラットフォームスイッチングなどの原理原則から、インプラント埋入の手順と解剖学的考察、抜歯窩保存術などの手技的、またインプラントフィクスチャーは何を選択したら良いのか?外科用ステントの種類とその使用用途は?埋入のタイミングはいつが良いのか?抜歯窩保存術にはどの移植材料が良いのか?など疑問に思うことをく分かりやすく講義していただきました。様々な論文を基に、また築山先生の知見も含めた講義により、基本を理解することで、より自分の知識を深めることが出来たのではないでしょうか。
1日目の午後は豚の顎骨を用いて、インプラント埋入と骨移植の実習を行いました。
今年も株式会社ナカニシ株式会社、Geistlich Pharma Japan、株式会社Dentsply Sironaにご協力いただきました。ご協力により、インプラントを埋入だけでなく、超音波装置を用いた即時埋入時のインプラント窩の形成、またBio-OssとBio-Gideを用いた実習となりました。まだインプラント治療をしたことない先生、既に経験がある先生も講義を受けた直後に実際に手を動かすことによって、新しい解釈や理解へと繋がったのではないでしょうか。
2日目は場所をヨシダのショールームに移し、コメンテーターとしてPHIJ Co-Directorである福田先生、PHIJ卒業生である今林先生、石川先生、原田先生を迎え、各受講医院が一症例ずつ症例発表を行いました。
第1回目にMTM(メディカルトリートメントモデル)について概論を学び、その医療モデルを臨床に導入するため、各医院でMTMを実践していただきました。今回で約8ヶ月が経過し、最終発表に向けての中間発表を行っていただきました。
発表を行う受講医院を大きく2つに分けると、既にOP医院としてMTMをされている医院とPHIJへの受講をきっかけに取り組み始めたばかりの医院の2つに分けることができます。各医院特徴があり、個性豊かな症例発表となりましたが、既にMTMを自医院に落とし込んでいる医院は、ドキュメンテーションの質も高く他院のお手本にもなったかと思います。
活発なディスカッションを通して、多くの事を学べたのではないでしょうか。資料採得の手技・技術面でのアドバイスから、初診時の口腔内写真、予後判定の大切さや、資料をとるだけではなく患者さんの背景を診ること、そしてギアモデルを積極的に取り入れてリスクアセスメントを検討する事や、ケースアセスメントをより深掘りして自分達の意見考察を出す事など、客観的な目線からアドバイスをもらうことができたかと思います。患者さんに、悪くなることを問題ない時に伝えることは難しいため、リスクを数値化することで意識を変えられるツールにもなるOHIS等を是非取り入れていきましょう。
MTMというのはまず、患者さんの背景を知ることから始まります。どれだけ丁寧に患者さんのことを思い伝えられるか。PHIJは受講生新たに取り組みを行ういい機会だと思います。最終発表に向けて、この取り組みで向かい合う壁を乗り越えていきましょう!
二日間、大変お疲れ様でした!
PHIJ運営スタッフ一同
P.S.
新たなPHIJアメニティも登場!